腕時計の素材として名高い「904Lステンレス」。特にロレックスが採用していることで有名ですよね。「でも、あの美しい輝きと優れた耐久性を持つ時計は、ロレックスにしかないの?」と疑問に思っていませんか?
実は、ロレックス以外にも904Lステンレスを採用している魅力的な時計ブランドは存在します。
この記事では、ロレックス以外で904Lステンレスを採用するブランドから、904Lならではのメリット・デメリット、そして賢い選び方までを徹底解説します。この記事を読めば、あなたの腕時計選びの視野がぐっと広がるはずです。
そもそも904Lステンレスとは?316Lとの違いを解説
まず、904Lステンレスがなぜ「スーパーステンレス」と呼ばれるのか、その理由を見ていきましょう。腕時計で一般的に使われる「316Lステンレス」との違いを知ることで、その価値がより深く理解できます。
成分と特性の違いを表で比較
904Lと316Lの最大の違いは、金属の成分構成にあります。特にクロムやニッケル、そして銅の含有量が多いことで、優れた特性を発揮します。
ステンレスの種類 | 主な成分 | 特徴 |
---|---|---|
316L | クロム(16-18%)、ニッケル(10-14%)、モリブデン(2-3%) | 医療用器具にも使われる高耐食性ステンレス。「サージカルステンレス」とも呼ばれる。 |
904L | クロム(19-23%)、ニッケル(23-28%)、モリブデン(4-5%)、銅(1-2%) | 耐食性・耐酸性・硬度が非常に高く、美しい光沢を持つスーパーステンレス。 |
硬度(HRB)で比較すると、316Lが約80HRBなのに対し、904Lは約95HRBと、数値上でも傷つきにくいことがわかります。
なぜ高級時計に使われるのか?
904Lステンレスが高級時計に採用される理由は、主に以下の3つです。
- 圧倒的な耐食性:汗や海水に非常に強く、長期間使用しても錆びにくい。
- 美しい輝き:磨き上げることで、白く高貴な光沢を放ち、その輝きが持続する。
- 高いステータス性:加工が難しく高コストなため、採用していること自体がブランドの技術力とこだわりの証となる。
これらの理由から、904Lステンレスは単なる素材ではなく、時計の価値を高める重要な要素となっているのです。
ロレックス以外の904Lステンレス採用ブランド5選
お待たせしました!ここからは、ロレックス以外で904Lステンレスを採用している注目のブランドを5つ紹介します。それぞれに個性的な魅力があるので、ぜひお気に入りを見つけてみてくださいね。
① ボールウォッチ (BALL Watch) – タフネスと実用性の両立
ボールウォッチは、鉄道時計にルーツを持つアメリカのブランドで、高い耐久性と視認性を誇ります。比較的早い段階から904Lステンレスに着目し、過酷な環境下での使用を想定したモデルに採用しています。
- 代表モデル:エンジニアIII オハイオ、エンジニア マーベライト クロノメーター
- 特徴:耐衝撃性・耐磁性・防水性に優れ、自発光マイクロガスライトによる夜間視認性も抜群。
- 価格帯:約25万円~30万円
904Lステンレスの高性能を、比較的手の届きやすい価格で体験できるのが最大の魅力です。
② ジラール・ペルゴ (Girard-Perregaux) – 老舗の高級スポーツウォッチ
1791年創業という長い歴史を持つスイスの老舗マニュファクチュール、ジラール・ペルゴ。近年、ブランドのアイコンであるラグジュアリースポーツウォッチ「ロレアート」に904Lステンレスを採用し、話題となりました。
- 代表モデル:ロレアート 904Lシリーズ
- 特徴:八角形のベゼルが印象的な洗練されたデザイン。904Lの採用により、従来のモデルよりさらに美しい光沢と高級感を実現。
- 価格帯:約150万円~
③ ジン (Sinn) – プロ仕様の本格ツールウォッチ
「使うためだけの時計」を哲学に掲げるドイツのブランド、ジン。警察や特殊部隊など、プロフェッショナルのための計器を製造しており、その一部モデルに904Lステンレスが使われています。
- 代表モデル:EZM1.1S
- 特徴:視認性と機能性を極限まで追求したデザイン。過酷な任務を支えるためのハイスペック素材として904Lを採用。
- 価格帯:約90万円~
④ ルノータス (Lunotocs) – 驚きのコスパを誇る国産ブランド
奈良を拠点とするカスタムオーダーウォッチブランド、ルノータス。ECサイトを通じて自分好みの時計を作れる気鋭のブランドが、限定モデルで904Lステンレスを採用し、時計愛好家を驚かせました。
- 代表モデル:A904 メテオライト・リミテッド
- 特徴:ケースやブレスレットに904L、文字盤に本物の隕石(メテオライト)を使用しながら、驚異的な価格を実現。
- 価格帯:約15万円~
⑤ ノルケイン (Norqain) – 注目の新進気鋭ブランド
2018年にスイスで設立された独立系ブランド、ノルケイン。元ブライトリングのCEOが経営に参画するなど、確かな品質と冒険心をくすぐるデザインで急成長しています。一部モデルで904Lステンレスの使用を公表しています。
- 代表モデル:インディペンデンス、ワイルドワンなど
- 特徴:すべてのモデルが機械式で、スイスメイドの品質にこだわりを持つ。アクティブなライフスタイルにマッチする堅牢な作りが魅力。
- 価格帯:約40万円~
独自開発!904L”相当”の特殊ステンレスを採用するブランド
「904L」という名称は使わずとも、同等、あるいはそれ以上の性能を持つ独自の特殊ステンレスを開発・採用しているブランドもあります。こちらも見逃せません。
- ショパール (Chopard) – ルーセントスチール™:904Lと同等の特性を持ち、さらにリサイクル素材を50%以上使用した環境にも配慮した素材。
- グランドセイコー (Grand Seiko) – エバーブリリアントスチール:一般的なステンレスより遥かに高い耐食性を誇る世界最高レベルの素材。
- SINN (ジン) – Uボートスチール:ドイツの潜水艦の外殻に使われる特殊鋼で、海水への耐性が極めて高い。
904Lステンレスのメリット・デメリットを再確認
ここで改めて、904Lステンレスを選ぶメリットと、知っておきたいデメリットを整理しておきましょう。
メリット:圧倒的な耐食性と高級感
- 塩水や汗に極めて強く、錆びにくい。
- 硬度が高く、日常使いでの小傷がつきにくい。
- 研磨による独特の白く美しい輝きが長期間持続する。
- 経年劣化が少なく、長く愛用できる。
デメリット:高コストとアレルギーのリスク
- 素材自体が高価で加工も難しいため、時計の価格が高くなる。
- ニッケルの含有量が多いため、金属アレルギーの人は注意が必要。
- 日常的な使用では、316Lとの違いを体感しにくいという意見もある。
よくある質問 (Q&A)
A. 正直なところ、見た目の輝きや質感の違いは、並べてじっくり見比べないと分かりにくいかもしれません。しかし、長期間使用した際のくすみの少なさや、輝きの持続性において、後から違いを実感する可能性は高いです。特に汗をかきやすい方や、海辺で使う機会がある方にはメリットが大きいでしょう。
A. 主な理由は「コスト」と「加工の難しさ」です。904Lは素材価格が316Lの約3倍とも言われ、硬度が高いために加工には特殊な設備と高度な技術が必要です。ロレックスのように自社で大規模な製造ラインを持つブランドでなければ、全面採用するのは経営的に非常に難しいのが現実です。
A. 904Lステンレスを採用していること自体が直接的に資産価値を高めるわけではありません。しかし、904Lを採用しているのはロレックスをはじめとする高級ブランドが多く、結果としてブランド価値やモデルの人気によって高い資産価値を維持する傾向にあります。素材の耐久性が高く、時計が美しい状態を保ちやすい点も、資産価値の維持にプラスに働くと言えるでしょう。
まとめ:ロレックス以外にも広がる904Lステンレスの世界
今回は、ロレックス以外で904Lステンレスを採用しているブランドについて解説しました。
- 904Lステンレスは耐食性と硬度に優れた高級素材。
- ロレックス以外にもボールウォッチ、ジラール・ペルゴ、ジンなどが採用している。
- ショパールやグランドセイコーのように、独自の高性能ステンレスを開発するブランドもある。
- メリットは耐久性と美しさ、デメリットは価格とアレルギーのリスク。
「904L=ロレックス」というイメージが強いですが、実はさまざまなブランドがその魅力に着目し、自社の哲学を込めた時計作りに活かしています。高価な素材ではありますが、それに見合うだけの満足感と、長く愛用できるという大きな価値があります。
この記事を参考に、ぜひあなたの価値観に合った最高の一本を見つけてくださいね。
あなたの気になる904L採用モデルも、ぜひコメントで教えていただけると嬉しいです!
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